Swell by Light (TEI ’25)

Swell by Light(熱光学式 2.5D 印刷)は、任意形状の凹凸・質感を紙などの素材に形成するための手軽で柔軟な手法です。

Sosuke Ichihashi, Noura Howell, and HyunJoo Oh. 2025.
Swell by Light: An Approachable Technique for Freeform Raised Textures.
In Proceedings of the Nineteenth International Conference on Tangible, Embedded, and Embodied Interaction (TEI ’25). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, Article 45, 1–16.
https://doi.org/10.1145/3689050.3704420

英語論文作り方(初級)作り方(上級)動画(準備中)  English

手順
紙の片面に、作りたい凹凸の模様を印刷します。裏面には、熱に反応して膨らむ市販のペーストを薄く塗っておきます。強い光で印刷面を加熱すると、インク部分が光を吸収して発熱・隆起し、触ってわかる凹凸の模様ができます。


最適化アルゴリズム
凹凸が意図した模様になるよう、印刷する模様の濃淡を最適化するアルゴリズムを開発しました。
熱伝導を考慮した最適化の結果、以下のように細い線は十分に膨らむようにより濃く、広い面積のブロック部分は膨らみすぎないようにより薄くなります。左が印刷物、右がそれにしばらく光を当てた際の温度分布シミュレーションです。


デザイン変数

Swell by Lightのいろいろなオプション・できることを紹介します。

複数段階の凹凸
特定の光色とインク色を組み合わせると、複数の高さの凹凸を作れます。
この例では、ヨーロッパの簡易な地形図を作成しました。


画像との組合せ
印刷面反対の熱膨張ペースト上に画像を印刷した紙を重ねると、凹凸のついた画像を作れます。絵を重ねることもできます。


紙以外の素材
模様を印刷した紙を一時的に貼り付けることで、紙以外の素材上にも凹凸模様を作成できます。この例では、デニム生地に木目模様の凹凸を作りました。


細かい質感
熱膨張ペーストへ何かを混ぜることで、凹凸の細かい触り心地をカスタマイズできます。例えば、砂を混ぜるとザラザラに、小麦粉を混ぜるとツルツルになります。


応用例

Swell by Light でできるようになることを応用例を通して紹介します。


さわって楽しむ絵本
Swell by Lightで凹凸を作る作業は簡単で楽しいので、子供にも向いています。見てさわって楽しめる絵を作れるので、教材として使えます。


触れるセンサー
凹凸に導電性インクを塗ると、タッチスライダーや圧力センサーなどになります。 この例では、タッチで家の明かりがついたり、鳥が振動したりします。


デコボコ折り紙・ステッカー
折り紙に質感を加えることができます。このページ冒頭の画像では、折り鶴の羽・胴体に凹凸模様を付けました。
またステッカー上に凹凸を作れば、あらゆるモノに付けられます。例えば、金属製のタンブラーに柔らかい弾力と断熱効果を付加できます。


論文

Sosuke Ichihashi, Noura Howell, HyunJoo Oh. 2025. Swell by Light: An Approachable Technique for Freeform Raised Textures. Tangible, Embedded, and Embodied Interaction (TEI ’25).

貢献